寄席で聞く講談は、いつも中途半端で終わってしまう。

盛り上がったところで時間が来てしまい、「この続きは次回・・・」となってしまうからだ。

お約束のパターンとしてそれはそれで笑えるが、最後まで聞いてみたいという思いも強くなっていった。
そのためには講談専門の公演に行くしかないと思っていたが、なかなか実現しなかった。

その機会は突然訪れた。
落語芸術協会から毎週送られてくるメルマガを何気なく見ていた時に、講談新宿亭(昼の部)10/12(金)13:00~というのが目に入ってきたのだ。
出演者の中に、注目の松之丞さんの名前もある。

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さらに調べてみると、松之丞独演会などの多くは「完売御礼」となっている。
噂通りの人気のようだが、この講談新宿亭については今のところそのような表記はない。
会場の定員70名というのが気になったが、思い切って行ってみることにした。

早めの昼食後、12時少し前に着いた時には、既に行列ができていた。
念のため先頭を確認し、人数を数えながら列の後ろへ。
約50人弱といったところか。
定員は70名のはずなので座って見ることができそうだ。

そのまま列は増え続け、開場の12:30が近づいた頃に後方を見た時、大きなキャリーバッグを引きながら歩いて来る人が。
えっ、松之丞さん??
思わず2度見をした時に、ばっちり目が合ったので目礼をしたところ、目礼を返してくれた。
良い人だ。

開場の12:30になっても列が動かない。
そのかわり、係員が盛んに行列の人数を数えている。
12:35過ぎにようやく列が動き出し、2000円を支払って入場。

会場内は思ったより狭く、中央の通路の左右にそれぞれパイプ椅子が5人分。
それが縦に7列で70人と思ったら、その後ろに色の違うパイプ椅子が2列分増設されていた。
開場前に人数を数えていたのはそのためだったのか。
立ち見を覚悟していた人にとっては、ありがたい配慮である。

想定以上の観客で開場が遅れ、落ち着きがない状態のなか、前座が2人出てきた後、定刻通り13:00に松之丞さんが登場。

神田松之丞 「難波戦記 本多出雲守の討死」
神田紅佳 「寛政力士伝 越ノ海勇蔵」
神田阿久鯉 「天明白浪伝 稲葉小僧」
神田松鯉 「荒木又右衛門 奉書試合」
神田京子 「大名花屋」
神田愛山 「太閤記 曽呂利新左衛門 柿の御意見」

松之丞さんのネタは、愛山さんから教わったもので今回がネタおろし2回目とのこと。
本多出雲守忠朝が酒でしくじった話しということで、愛山さんをいじって笑いをとる。
今回の出演者は、松之丞さんと松鯉さん以外は初めてだったので、事前にプロフィールを調べておいた。
愛山さんの過去を知らないと楽しめない内容。
調べておいて良かった。

その後は相撲もの、泥棒もの、侍ものと講談の王道というような話しが続く。
どれも初めて聞く話しではあったが、面白い話しであった。
松鯉さんは、話しの途中で「この続きは次回」と言った後に時計を見て、まだ時間が残っているから今日はそんなことは言わずに最後までやりますよと言って、ニヤリ。

大名花屋は、最後のどんでん返しが印象的。

愛山さんは、松之丞さんに話を教えてあげたと話した後、でも教えた通りにやらないからもう教えてあげない、と。お二人の関係の良さが伝わってくる。

今回初めて本格的に講談を聞いた。
軍記や政談などの歴史にちなんだ話はどれも引き込まれるようなストーリーが良く、随所のくすぐりで笑いもある。
まくらが面白い人も多く、講談は落語より硬いものというイメージは見事に打ち砕かれ、楽しいものであった。
落語とは違う良さも感じたので、また行きたいと思う。